この殿 [1] は、こまつぶり [2] に斑濃 [3] の緖つけて奉り給へりければ、「あやしのもののさまや。こは何ぞ」と問はせ給ひければ、「しかじかとなむ申す。迴して御覽じ御座しませ。興あるものに」など申されければ、南殿 [4] に出でさせ給ひて、迴させ給ふに、いと広き殿のうちに、残らずくるめきありきければ、いみじう興ぜさせ給ひて、これをのみ常に御覽じあそばせ給へば、こと物どもはこめられにけり。

この殿 [5] ぞ、藤氏はじめての太政大臣 [6] 摂政 [7] し給ふ。めでたき御ありさまなり。和歌もあそばしけるにこそ。古今 [8] にも、あまたはべるは。「前のおほいまうちきみ」とは、この御事なり。多かる中にも、いかに御心ゆき、めでたく思へてあそばしけむとおしはからる。

天地にうけられ給へるは、この殿 [9] こそ御座しませ。何事もおこなはせ給ふをりに、いみじき大風吹き、長雨降れども、まづ二三日かねて空晴れ土かはくめり。かかれば、あるいは聖德 [10] 太子の生まれ給へると申し、あるいは弘法大師 [11] の仏法興隆のため生まれ給ふとも申すめり。げにそれは翁らがさがな目にも、ただ人とは見えさせ給はざんめり。なほ権者 [12] にこそ御座しますめれとなむあふぎ見奉る。

藤原行成是用斑斓的绳子缠在陀螺身上呈上的。“这么奇怪的形状，这是什么呀？”“有各种各样的叫法，很有趣的，转给您看看吧。”便出了紫宸殿，开始玩弄着转了起来。在偌大的殿宇内，从这个角落到那个角落轱辘轱辘地转个不停，小天皇就觉得非常有趣，就一直想要玩这个东西，其他的玩具就完全不要了。

藤原良房是作为（古制摄政得由皇族的成年人担任的）藤原氏第一次担任太政大臣摄政的。都说他是相貌俊朗风流倜傥，好像和歌也吟诵得很好，因为那《古今和歌集》中也收录有他好几首歌。世间一般所说的前太政大臣，指的就是藤原良房。他所作的很多的歌里，想必您一定是很满意地读过了的吧？

似乎天地间诸神最眷顾的就是这位藤原道长太政大臣摄政了，当他要主持各种庆典行事的时候，即使要刮大风或者下大雨，也会在此的二三天前先给与天空变得很晴朗地面会很干燥的日子。因为这缘故，人们或者会说他莫非是聖德太子再生或者说是弘法大師为了恢弘佛教而再生了。实际上凡夫俗子是看不出这个老爷子和普通人有什么不同的，毕竟，神祇或佛陀在这世上的现身是必须要仰视才能看到的。