2023年01月26日
(2023-01-26 10:02:14)「さは翁丸[1]」といふに、ひれ伏して、いみじく鳴く。御前にもうち笑はせたまふ。人びと参り集まり、右近の内侍[2]めして、「かく」など仰せらるれば、笑ひののしるを、上にも聞こしめして、わたらせおはしまして、「あさましう、犬なども、かかる心あるものなりけり」と笑はせたまふ。上の女房たちなども聞きて、参り集まりて、呼ぶにも、今ぞ立ち動く。なほ颜など腫れためり。「物調ぜさせばや」と言へば、「つひに言ひあらはしつる」など笑はせたまふに、忠隆[3]聞きて、台盤所のかたより、「まことにやはべらむ。かれ見はべらむ」と言ひたれば、「あなゆし、さる者なし」と言はすれば、「さりともつひに見つくる機もはべらむ。さのみもえ隐させたまはじ」と言ふ。
“那么,是翁丸吗?”如此问了后,它趴在地上就大声地叫了。中宫听了也笑了。大家都聚拢来,还叫了右近内侍来。右近内侍看了后说了:
“就是它”后大声地笑了。一条天皇也听到来了,笑着说道:
“真令人诧异呀,就连狗也有这样的心的啊?”一条天皇身边的女官们也听到了,都跑过来叫着它的名字。这回它动了,还站了起来,不过脸上好像还是肿着。我说了:
“给它吃点什么吧?”中宫也笑着说:
“终于有人说出了它想要的东西啦。”
忠隆也听说了,便从台盘所过来,说:
“真的是翁丸吗?让我瞧瞧这家伙吧。”
“啊呀,不行。它不是翁丸呀。”我回答说。
可是忠隆说道:
“不过,最后终是要被发现的吧?这又不是如此便能隐瞒的事。”