中纳言[1]殿まゐらせたまひて、御扇奉らせたまふに、隆家こそいみじき骨を得て侍れ。それを張らせてまゐらせむとするを、おぼろけの紙はえ張るまじければ、求め侍るなりと申したまふ。いかやうなるにかあると問ひ聞こえさせたまへば、すべていみじく侍り。さらにまだ見ぬ骨のさまなりとなむ、人びと申す。まことにかばかりのは侍らざりつと、言高く申したまへば、さては扇のにはあらで、くらげ[2]のななりと聞こゆれば、これは隆家が言にしてむとて笑ひたまふ。

中纳言来参见中宫，说想进呈扇子的，

“隆家得到很好的扇骨了，想把它贴好了紙进呈的，那不净的紙又不行，正在四处打听呢。”

“是怎样的扇骨呢？”

中宫如此问了后，中纳言很是炫耀的样子大声说道：

“简直是最好的东西，人们都说好像很久不曾见过这样的骨了，真的没有再好的了。”

“那么，那不是扇骨，简直就是水母骨了吧？”

听了我的这样的话，隆家笑着说：

“这好像就是隆家本想说的话吧？”