第二届日本国际科幻小说研讨会公报(日文版)
(2013-10-11 22:51:08)
标签:
科幻 |
分类: 科幻文学 |
第 2回国際 SFシンポジウム共同声明
( 2013年 7月)
2013年 7月 19日から 29日までの期間、第2回国際 SFシンポジウムが広島、大阪、京都、名古屋、東京、そして福島の諸都市を巡るかたちで開催されました。 1970年には第 1回国際 SFシンポジウムが大阪万博に合わせて行なわれ、米ソ冷戦下、東側の作家と西側の作家が初対面を遂げましたが、今回の試みは、その折の国際的対話をさらに続行すべく目論まれたものです。
第2回国際 SFシンポジウムは、まず1945年 8月 6日に人類史上初の原爆が投下された広島から始まり、最終的には2011年 3月 11日に東日本大震災の余波で原発事故が起こり放射能汚染に悩む福島で幕を閉じました。その過程で、わたしたちは多くの作家、芸術家、翻訳家、批評家、研究者、そして読者の方々と交歓する機会を得ています。どの都市でも第一線の学者や SFファンと大いに話し合い、第 52回日本 SF大会こいこん( 2013年 7月 20日— 21日、於?広島市)にも参加しました。広島、大阪、名古屋、東京の四都市で行なわれた公開シンポジウムにおいては、人類の運命を占う広汎なる諸問題を、それぞれ「自然、文化、未来」「ロボット、 AI、創造力」「ジェンダーとアジア」「翻訳、日本、惑星的想像力」といったタイトルのもとで討議しました。
議論を重ねるうちに気づいたのは、わたしたちがみな「物語の力」を信じてやまない点で共通していたことです。地球最初の人間が口にしたであろう原初の物語から 21世紀現在における電子的コミュニケーションのかたちに至るまで、物語は人類の意識に染み込み、わたしたちの世界観を左右してきました。
わたしたちは SFこそ世界を変革するものと確信していますが、その実現のためには、さまざまな未来像を思い描き、科学技術的にして社会的な変革が、想定内と想定外とを問わずいったいどんな波及効果をもたらすものかを吟味しなければなりません。こうした変革の可能性を物語というコンテクストの中で思索してみることで、 SFは変革の帰結がどうなるのかを人類の問題として語るとともに、社会が下す選択をめぐっていっそう深い思索を促進するでしょう。 この点において、 SFは未来への警告と思索の促進という二重の役割を演じます。
人間というのはもともと自然界の一部であり、自然の事象と人為的な変革が引き起こす諸問題に左右される存在です。 SFを創る者として、わたしたちは新しいテクノロジーや社会的変革、気候変動、そして環境破壊に応じて人類がいかに適応しその行動を変えていくものかを思索します。
わたしたちが同じ共同体に暮らしているのを認識することは、現在世界における幸福と平和とはいったい何かを認識することではないでしょうか。今回の一連のシンポジウムにおいて、わたしたちは同じように SFを創ることに惹かれ携わっている少なからぬ人々と討議し連帯することで充実した日々を送りました。とりわけ多様なる言語によって、しかも多様なる文化的視座に立つことで対話が成されたことは見逃せません。何よりも翻訳こそは、さまざまな異文化のうちに共通点を見出し、新たな世界観を発見する手段です。こうした翻訳の瞬間を見逃すと、わたしたちは並行して織り紡がれているさまざまな人間的物語はおろか、現在世界の抱える諸問題とその解決方法についても、まったく理解できなくなってしまうでしょう。いまのわたしたちに不可欠なのは、現在可能なテクノロジーを総動員して、ともに力を合わせ、SFの翻訳と散種を促進し異文化間の交通を可能にすることです。そうすれば、はたして人類の未来がどうなっていくのかをめぐるわたしたちの対話も、あたうかぎり豊饒で活発なものになるはずです。
SFはもはや文学という狭いカテゴリーに納まり切るものではありません。というのも、 SF的思考は現代の芸術形態全般にあまねく浸透しているからであり、ジャンル的境界はもちろん、「 SF」というラベル自体をも超越してしまっているのですから。魚が自ら水中に暮らしているのをわざわざ意識しないのと同じように、現代人もまた 知らず知らずのうちにSF的未来の中で遊泳しているのです。 SFはいまやひとつの文学的範疇とか未来観といった水準を超えて、現代人の暮らす現在的瞬間を理解する手段と化したのであり、 SF独自の装置を駆使することで、わたしたちは現在世界が人間の力を経てどう変わったかを思考実験し、問題の本質を問い直すことができるようになりました。
したがって、未来を思索し現在世界を理解すべく尽力するには、今回の第 2回国際 SFシンポジウムのような集まりを数年毎に、さまざまな国の持ち回りで行うべきではないでしょうか。そして、こうした機会にこそ、世界各国からSFの専門家が参加するよう呼びかけ、現在進行形にして活発化をきわめる意見の交換や共同体の共有を促進していくようにしたいものです。
第 1回国際 SFシンポジウムから 43年の歳月を経て、 SFは多くのメディアを舞台に活躍する作家、芸術家、翻訳家、批評家、研究者、そして読者がグローバルな規模で交わす対話形式となりました。実り多い意見の交換を成すには生身の人間同士で会って話すのが一番です。国際 SFシンポジウムの参加者は一同、より多くの SF専門家に対し、この企てに参加して以後も情報を共有し国境を越えた共同作業をーー翻訳をはじめ新たな SF創作に至るまでーー続行するべく呼びかける所存です。こうした努力からこそ創造へのヒントとともに、建設的討議と相互理解とがもたらされること、そしてありうべき未来のすがた、ひいては人類全体にとって望ましい未来のすがたに対する理解が深まることを、わたしたちは信じて疑いません。
以上の目的のために、第 2回国際 SFシンポジウムに集ったすべての SF専門家たちは、下記に署名を連ね、この地球と全人類にとって望ましい未来のために貢献したいと願うものです。
(以下、署名予定者名を ABC順に)