赤い姫と黒い皇子1
(2017-02-20 10:51:11)
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文学 |
赤い姫と黒い皇子1
红公主与黑王子
小川未明
ある国に美しいお姫さまがありました。いつも赤い着物をきて、黒い髪を長く垂れていましたから、人々は、「赤い姫君」といっていました。
在一个王国里,有一位美丽的公主。因为一直穿着红色的衣服,长长的黑发自然飘逸,所以大家都叫她“红公主殿下”。
あるときのこと、隣の国から、お姫さまをお嫁にほしいといってきました。お姫さまは、その皇子をまだごらんにならなかったばかりでなく、その国すら、どんな国であるか、お知りにならなかったのです。
有一次,邻国传来消息说,想要与公主殿下通婚。可是,别说是该国的王子,就连该国的国情,公主也一无所知。
「さあ、どうしたものだろうか。」と、お姫さまは、たいそうお考えになりました。それには、だれか人をやって、よくその皇子の身の上を探ってもらうにしくはないと考えられましたから、お伴の人をその国にやられました。
“啊,我该怎么办啊?”公主十分焦虑。于是,公主思前想后,觉得必须派人到王子身边刺探详情,便派遣家臣到邻国去。
「よく、おまえはあちらにいって、人々のうわさや、また、どんなごようすの方だか見てきておくれ。」といわれました。
“听好了,你到那边去,仔细打听民间对那王子的传言,还有,看看他长相如何。”公主吩咐道。
そのものは、さっそく皇子の国へ出かけていきました。すると、隣の国から、人が今度のご縁談について探りにきたといううわさが、すぐにその国の人々の口に上りましたから、さっそく御殿にも聞こえました。
家臣匆匆上路,赶往王子的国家。一时,“邻国有人前来打听此次联亲。”这一消息马上在王子的国家传开了,很快就传到皇宫里。
「どうしても、あの、美しい姫を、自分の嫁にもらわなければならぬ。」と、皇子は望んでいられるやさきでありますから、ようすを探りにきたものを十分にもてなして帰されました。
“无论如何,我一定要娶到那美若天仙的公主殿下。”王子此时正热切地期盼着,所以热情款待那前来刺探详情的家臣,并送走了他。
やがて、そのものは、立ち帰りました。お待ちになっていたお姫さまは、どんなようすであったかと、すぐにおたずねになりました。
很快,家臣就回来了。左盼右盼的公主急切地询问情况。
「それは、りこうな、りっぱな皇子であらせられます。御殿は金銀で飾られていますし、都は広く、にぎやかで、きれいでございます。」と、家来は答えました。
“那是位聪敏高贵的王子殿下。宫殿金碧辉煌,京城又大又繁华,漂亮极了!”家臣回答。
お姫さまは、うれしく思われました。しかし、なかなか注意深いお方でありましたから、ただ一人の家来のいったことだけでは、安心をいたされませんでした。ほかに、もう一人、家来をやって、よくようすを探らせようとお考えになったのです。
公主很是高兴。不过,公主是位小心谨慎的人,仅凭一位家臣说的话,她心里还是放心不下,便想着再派一位家臣去打听情况。
「こんどは、ひとつ姿をかえてやろう。それでないと、ほんとうのことはわからないかもしれぬ。」と思われましたので、お姫さまは、家来を乞食に仕立てて、おつかわしになりました。
“这次,换个形象去吧!否则,也许无法看清事实。”公主这样想着,就把家臣打扮成乞丐,派遣了出去。
いろいろの乞食が、東西、南北、その国の都をいつも往来していますので、その国の人も、これには気づきませんでした。
因为一直有形形色色的乞丐从东西南北穿梭在邻国的京城里,所以那里的百姓并没有看穿他。
乞食に姿をかえたお姫さまの使いのものは、いろいろなうわさを聞くことを得ました。そして、そのものは、急いで帰りました。
乔装打扮成乞丐的家臣打听到很多小道消息。于是,急匆匆地回国了。
お姫さまは、待っておられたので、そのものが帰るとすぐに自分の前にお召しなされて、聞いたことや見たことを、すっかり話すようにといわれました。
公主朝思暮想,得知家臣回来了,便马上将其召到跟前,命令他将所见所闻一一讲述。
「私は、つい皇子を目のあたりに見られませんでした。しかし、たしかに聞いてまいりました。皇子は御殿から外に出られますときは、いつも黒い馬車に乗っていられます。そして、いつも皇子は、黒のシルクハットをかぶり、燕尾服を着ておいでになります。そして片目なので、黒の眼鏡をかけておいでになるということです。」と申しあげました。
“小的,最后还是没能见到王子殿下一面。但是,我确是打听到一些情况。王子出宫的时候会乘坐黑色马车。而且,王子总是头戴黑色的高礼帽,身着黑色的燕尾服。据说,还一只眼戴着黑眼镜。”家臣汇报道。
お姫さまは、これを聞くと、前の家来の申したこととたいそう違っていますので、びっくりなさいました。すぐに縁談を断ってしまおうかとも思われましたが、もし、そうしたら、きっと皇子が復讐をしに攻めてくるだろうというような気がして、すぐには決しかねたのであります。
公主一听十分震惊,这与之前的家臣所说的有很大的出入。公主想要马上拒绝联亲,可是,又担心王子会为了报复而发动战争,一时下不了决心。