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2016年6月3日付「時事速報」(時事通信社)に掲載された「莫邦富の『以心伝心』講座」第399回「術有専攻」をご案内します。今回は職人の心関連のことを取り上げています。
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第399回 「術有専攻」
最近、中国ではよく「工匠精神」という言葉を耳にする。日本語に訳せば「匠 たくみ の心」に当たるもの
だろうと思う。ドイツや日本の職人の精神に学ぼうというメッセージがこの4字熟語に隠れている。
長い間、特にここ20年くらい、中国では一部の人が工匠、つまり職人を見下すといった風潮が広がっている。
絵画の世界では、日本の美術作品を「工匠気太濃(職人のカラーが強すぎる)」と批判する中国のアーティストが多い。
中国では、「大師」つまり巨匠、大家と自称する人間が多すぎる。先日、インターネットで読んだある文章の作者は、そのもっている様々な肩書を紹介しただけではなく、「軍級工資待遇」つまり軍団
長なみの給料をもらっているということまで持ち出して、自分の地位を強調していた。
こんなことを体験した回数があまりにも多かったので、現在、私が一番、抵抗感を覚えるのは「大師」という言葉だ。東京で開催される現代中国画家の絵画展が多い。大師を自称する画家の展示会
に招待されても、私はほとんど会場には行かない。逆に健気(けなげ)に努力している画家たちの絵画展などには、時間が許せるかぎり、できるだけ見に行くように努力している。
その意味では、工匠精神が頻繁に語られることは、中国のいい変化だと思う。工匠精神という言
葉を聞くたびに、術有専攻という言葉を想起する。日本語に直せば、手に技をもつ、ある分野に非
常に詳しい知識や技能をもつという意味になる。その工匠精神を推奨する動きは、術有専攻の職人
を尊重する社会への回帰と受け止め、手を挙げて歓迎したい。
東京の自宅の位置の関係で、外出するときまたは帰宅するとき、乗り換えのため、三越前という駅
で半蔵門線と銀座線という2本の地下鉄をよく利用する。そのため、三越デパートの前を通らなければならない。年末年始に、そこで匠の技という催事が開かれる。その案内のポスターを見て感動した
私は思わず写真に収めた。一年のまとめと一年の始まりという大事なタイミングに、日本で高級デパー
トと評される三越デパートが、職人の技を広げるための催事を企画する。職人に、匠の心に対する 社会の敬意がそこに現れている。
残念ながら、このような離れ技はいまの中国のデパートではまだ見ることができない。いつか、そ
の日が中国に訪れたら、中国社会が工匠精神を本当に尊重する社会へ回帰できたと言えよう。
拒絶「大師」、歓迎工匠!名ばかりの大家や巨匠はもう要らない。地に着いた職人が能力を余す
ところなく発揮できる社会を回帰させよう。今の中国がこんなことを必要としている。
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術有専攻(shù yǒu zhuān gōng)シュー ユー チョワン コン