2023年03月19日
(2023-03-19 09:48:11)扇してうち叩きたまへば、童出で来たり。「これ奉れ」とて取らすれば、大辅 [1] の君という人に、「このかしこに立ちたまへる人の、御前に奉れとて」と言へば、取りて、「あないみじ。右马のすけ [2] のしわざにこそあめれ。心憂げなる虫をしも興じたまへる御顔を見たまひつらむよ」とて、さまざま聞こゆれば、姬君 [3] のいらへたまふことは、「思ひとけば、ものなむ恥かしからぬ。人は、夢幻のやうなる世に、谁かとまりて、悪しき事をも見、善きをも思ふべき」とのたまへば、若き人びと、おのがじし心憂がりあへり。
那扇子轻轻地一拍,使唤的童仆就走了出来了。右马寮次官对她说了“把这个给我传上去吧”,于是这童仆就对叫大辅君的女官传达说:“就那个站在那里的人说要交给姬君的”,大辅君女官接手拿了以后就惊讶地对姬君说道:“啊呀,不得了,这好像是右马寮的次官的呀,那把讨厌的虫子当成有趣的样子,您一定看到了的”,大家七嘴八舌地说了很多。姬君就说:“仔细想想的话这也并没有什么难为情的,人活在这如梦如幻的娑婆世界,谁又能永恒地存在判断诸事的善恶与否呢?”年轻的女官们听了后各自悲叹着世事无常。
祭 [4] の頃は、なべて今めかしう見ゆるにやあらむ、あやしき小家の半蔀 [5] も、葵などかざし [6] て、ここちよげなり。わらはべの、衵·袴きよげにて、さまざまの物忌 [7] どもつけ、化粧じて、我も劣らじといどみたるけしきどもにて行きちがふは、をかしく見ゆるを、ましてその際の小舍人 [8] 、随身 [9] などは、殊に思ひとかむるもことわりなり。とりどりに思ひわけつつもの言ひたはぶるるも、何ばかりはかばかしきことならじかしと、あまた見ゆる中に、いづくのにかあらむ、薄色きたる、髪胫ばかりある [10] 、頭つき [11] 、様態、なにもいとをかしげなるを、頭の中将の御小舍人わらは、思ふさまなりとて、いみじくなりたる梅の枝に葵をかざして取らす。
[1] 大辅:宫内八省的次官。
[2] 右马のすけ:右马助,右马寮的次官。
[3] 姬君: 贵人的女儿。
[4] 祭:四月(阴历)中旬或下旬的酉日举行的贺茂的例祭。
[5] 半蔀:仅上半部能开启的雨窗,一般的蔀(しとみ)是下半部也能开启的。
[6] 葵などかざし:葵,双叶葵,马兜铃科的多年生草本植物。贺茂祭时建筑物、车子、衣冠等都要用双叶葵装饰着的。
[7] 物忌:为祈求退避恶鬼,身上佩戴树枝、蔓草一类的饰物。
[8] 小舍人:近卫的中将和少将所使唤的少年。
[9] 随身:贵人外出时警卫的以及传达勅宣时跟随的近卫府的带弓箭刀剑的舍人。
[10] 髪胫ばかりある:ばかり,约莫,大体……ぐあい。
[11] 頭つき:头发的ぐあい。当时头发是美人的要件。

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