中原中也诗三首(中日文对照)

标签:
山羊之歌日本诗集中原中也 |
分类: 译诗 |
中原中也的诗以其敏锐的感受性捕捉自然之声色,并于修辞上呈现自己独特的感官世界。他思考生与死,文字游弋其间,甘美而哀切的诗句流溢着无常的余韵,质朴而深邃的语言表达着生命的倦怠和虚无。他吟咏惜别时之留恋、人心深处之悲痛、流逝不复返之物。他将每一声叹息都入了诗,终其一生的创作都在表达着三个主题:活着、爱着、痛苦着。
中原中也诗三首(中日文对照)
恰当其时……
恰当其时花儿好似香炉散发着幽香,
若即若离似有还无的幽香。
潮湿的花瓣,滴落的水声,
匆忙赶回家的人们。
亲爱的泰子,恰当其时
让我们静静地,依偎在一起。
遥远的天空上,飞翔嬉戏的鸟儿
也洋溢着,甜蜜而青涩的恋情。
亲爱的泰子,恰当其时
暮色中的篱笆和群青色的
天空静静地流淌着。
亲爱的泰子,恰当其时
你乌黑的长发柔柔地飘散
花儿好似香炉散发着幽香……
時こそ今は……
時こそ今は花は香炉に打薫じ
ボードレール
時こそ今は花は香炉(こうろ)に打薫(うちくん)じ、
そこはかとないけはいです。
しおだる花や水の音や、
家路をいそぐ人々や。
いかに泰子(やすこ)、いまこそは
しずかに一緒に、おりましょう。
遠くの空を、飛ぶ鳥も
いたいけな情(なさ)け、みちてます。
いかに泰子、いまこそは
暮るる籬(まがき)や群青の
空もしずかに流るころ。
いかに泰子、いまこそは
おまえの髪毛なよぶころ
花は香炉に打薫じ、
三千子
你的胸怀如大海
因为开阔所以波涛汹涌。
苍穹高远,海浪蔚蓝,
凉爽的风吹拂着
掠过松树的枝头
白茫茫的海岸绵延一片。
你的眼睛里辉映着
那片无边无际的天空
排浪汹涌而来,海滩蜿蜒起伏,
你的眼中景象瞬息万变。
不由自主,你的目光便被
驶向大海的小船深深地吸引。
你的额头美到极致
像忽然间被声响惊吓
从午睡的梦中醒来的
一匹公牛,天真无邪,
明媚安详
你抬头,俄而复又垂下头去。
柔柔的,仿佛彩虹般的是你的脖颈
软软的,仿佛婴儿般的是你的手臂
和着快节奏的弦乐歌曲,你娴熟地舞蹈,
海面上铺满了宛若被泪水浸润的金色夕阳
海滩,愈发遥远,远方宁静而润泽
当你的气息即将散尽空中的时候,我看到了你。
みちこ
そなたの胸は海のよう
おおらかにこそうちあぐる。
はるかなる空、あおき浪、
涼しかぜさえ吹きそいて
松の梢(こずえ)をわたりつつ
磯白々(しらじら)とつづきけり。
またなが目にはかの空の
いやはてまでもうつしいて
竝(なら)びくるなみ、渚なみ、
いとすみやかにうつろいぬ。
みるとしもなく、ま帆片帆(ほかたほ)
沖ゆく舟にみとれたる。
またその顙(ぬか)のうつくしさ
ふと物音におどろきて
午睡(ごすい)の夢をさまされし
牡牛(おうし)のごとも、あどけなく
かろやかにまたしとやかに
もたげられ、さてうち俯(ふ)しぬ。
しどけなき、なれが頸(うなじ)は虹にして
ちからなき、嬰児(みどりご)ごとき腕(かいな)して
絃(いと)うたあわせはやきふし、なれの踊れば、
海原(うなばら)はなみだぐましき金にして夕陽をたたえ
沖つ瀬は、いよとおく、かしこしずかにうるおえる
空になん、汝(な)の息絶(た)ゆるとわれはながめぬ。
深夜思
是发泡石灰的
风干
急剧地——稚幼女孩的哭声,
皮包店老板娘昨夜的抽泣。
黄昏的树林
嗓音沙哑的母亲。
虫儿在树梢周围飞来飞去,
叼着奶嘴跳着滑稽的舞蹈。
波浪形毛发的猎犬已跑远了,
猎人猫着腰追赶。
森林中蔓延铺展的草地
忽然变成陡坡!
玛格丽特*走向漆黑的海边
面纱被风撕扯成无数的碎片。
她的肉身必须投入大海,
神父般庄严的大海!
立身悬崖边的她的头顶之上
精灵们描画着古怪的纹路。
她的回忆定格在整理悲伤的书房
她必须马上死去。
注:玛格丽特,歌剧《浮士德》中的女主人公。
深夜の思い
これは泡立つカルシウムの
乾きゆく
急速な頑(がん)ぜない女の児の泣声(なきごえ)だ、
鞄屋(かばんや)の女房の夕(ゆうべ)の鼻汁だ。
林の黄昏は
擦(かす)れた母親。
虫の飛交(とびか)う梢(こずえ)のあたり、
舐子(おしゃぶり)のお道化(どけ)た踊り。
波うつ毛の猟犬見えなく、
猟師は猫背を向(むこ)うに運ぶ。
森を控えた草地が
坂になる!
黒き浜辺にマルガレエテが歩み寄(よ)する
ヴェールを風に千々(ちぢ)にされながら。
彼女の肉(しし)は跳び込まねばならぬ、
厳(いか)しき神の父なる海に!
崖の上の彼女の上に
精霊が怪(あや)しげなる条(すじ)を描く。
彼女の思い出は悲しい書斎の取片附(とりかたづ)け
彼女は直(じ)きに死なねばならぬ。
临终
秋日的天空呈现深灰色
黑马的眼睛闪着光亮
既无神明亦无亲朋
窗边的妇人悄然死去
她曾在窗边梳洗长发
裸露的手臂多么优雅
小镇依然喧闹
夹杂着孩子们的欢笑
臨終
秋空は鈍色(にびいろ)にして
黒馬(くろうま)の瞳のひかり
水涸(か)れて落つる百合花(ゆりばな)
ああ こころうつろなるかな
神もなくしるべもなくて
窓近く婦(おみな)の逝(ゆ)きぬ
白き空盲(めし)いてありて
白き風冷たくありぬ
窓際に髪を洗えば
その腕の優しくありぬ
朝の日は澪(こぼ)れてありぬ
水の音(おと)したたりていぬ
町々はさやぎてありぬ
子等(こら)の声もつれてありぬ
しかはあれ この魂はいかにとなるか?
うすらぎて 空となるか?