第13課 つかう
新しい言葉
しゅっちょうスル 出張スル
もうすぐ
ついらくスル 墜落スル
げんいん 原因
いまだ(に)
ふめい 不明
ゆいごんスル 遺言スル
いたい 遺体
おちつく 落ち着く
きゅうよ 給与
しょうしんスル 昇進スル
ちょうし 調子
ストレス
しまいに
ていねん 定年
ひっこむ 引っ込む
えん 縁
~ぞ
しょうしゃ 商社
しゅうしょくスル 就職スル
何より(も)
きらう 嫌う
かたみ 形見
あいようスル 愛用スル
かた 型
かいがい 海外
めんぜいてん 免税店
うごく 動く
がいしゅつスル 外出スル
パート
ふべん 不便
かんじる 感じる
~どころか
かえって
ゆとり
~わけではない
みのまわり 身の回り
しんしつ 寝室
でんしレンジ 電子レンジ
すいはんき 炊飯器
せんたくき 洗濯機
でんかせんひん 電化製品
デジタル
ひょうじスル 表示スル
いきかえり 行き帰り
ビル
あちらこちら
たしかめる 確かめる
きにする 気にする
きがつく 気が付く
あと~
せきたてる せき立てる
いらいらスル
あわせる 合わせる
はらどけい 腹時計
けんとうをつける 見当を付ける
わかす
沸かす
インスタント
そそぐ 注ぐ
いまでは 今では
にらめっこスル
はず
ためす 試す
ほぼ
せいかく 正確
きにいる 気に入る
あう 遭う
かたりかける 語りかける
[つかう]
出張途中の突然の飛行機事故で、主人が亡くなってもうすぐ三年になる。墜落の原因はいまだに不明だ。遺言も残さず、遺体も帰ってこなかった。「時間に追われるような、こんな落ち着かない生活はもう嫌だ。給与も昇進も要らん。こんな調子で仕事を続けていたら、ストレスでしまいには死んでしまう。定年になったら田舎に引っ込んで、時計とは縁のない生活をするぞ」商社に就職して二十年になる主人は、繰り返しこんなことを言っていた。時間に追われる毎日を何よりも嫌っていたその主人が私に残してくれた形見は、長く愛用していた古い型の腕時計であった。海外出張前に「空港の免税店で新しいのを買うから」と言って残していった古い腕時計は、今も休まず動いている。
主人を亡くしてから、私は外出するときもパートに出るときも時計を持っていかないことにした。初めは少し不便だと感じることもあったが、慣れてくると不便どころか、かえって生活にゆとりさえ出てきた。時計を持たなくなったからといって、時間のことを全然考えずに生活しているわけではないし、身の回りに時計が一つもないわけでもない。私の寝室には目覚まし時計があるし、ビデオや電子レンジ、それに炊飯器や洗濯機などの電化製品にまでデジタル表示の時計が付いている。パートの行き帰りにも、駅や銀行のビルなど、あちらこちらにある時計を見て、時間を確かめることができる。
時計を持たなくなって、私は自分が前ほど時間を気にしなくなっているのに気が付いた。まず、歩きながら「約束の時間まであと何分」と、何かにせき立てられて何度も何度も時計を見ることがなくなった。また、急ぐ用事もないのに電車を待ちながら何回も時計を見ていらいらすることもなくなったし、時計を合わせる必要もなくなった。
昔から腹時計などと言うが、私も時計を見なくてもだいたい時間が分かるようになった。「もうそろそろニュースの時間だろう」と見当を付けると、それが大きくは間違っていない。風呂を沸かしたりインスタントラーメンに湯を注いで時間を待つときも、今では時計とにらめっこしなくてもよくなった。「もうできているはずだ、だいたい三分くらい経ったから」と、試してみるつもりで時計を見ると、それがほぼ正確だからである。私はこんな生活が気に入っている。
主人は出発前にどんな時計を買ったのだろうか。時間に追われるような気持ちで、何度も何度もその時計を見ているときに事故に遭ったのではないのだろうか。「田舎に引っ込まなくても、時計と縁のない生活はできますよ」私は今日も主人の形見にそう語りかけている。
使いましょう
A 「~はずだ」
例:田中さんの家からここまでは1時間くらいかかります。
A:田中さんはまだですか。もう3時になりますよ。
B: 二時前に家を出たそうだから、もうすぐ来るはずですよ。
1.
A:ジョンさんに出す手紙なんですが、日本語でいいでしょうか。
B:彼は3年間、日本に住んでいたから、日本語が分かるはずですよ。
2.
A:田中さんは、今日は学校が休みだということを知っているでしょうか。
B:私が昨日言ったから、分かっているはずですよ。
3.
A:田中さんに電話しようと思っているんですが。
B:家にいると言っていた から、電話に出る はずですよ。
4.
A:田中さんに電話しようと思っているんですが。
B:今日は出かけるといっていたから、家にいないはずですよ。
5.
A:バス、なかなか来ませんね。どうしたんでしょう。
B:今五時二分前ですから、もうすぐ来る はずですよ。
B:「~からといって、わけではない」
例:毎日学校へ来ているからといって、日本語が上手になるわけではない。
1.
2.
3.
4.
5.
6.
7.
8.
C:「~どころか~さえ~ない」
例: A:漢字はいくつぐらい読めますか。
B:漢字どころか、ひらがなさえまだ読めないんです。
1.A: よく外国旅行に行かれるのですか。
B:外国 どころか、国内の旅行さえ行ったことがありません。
2.A:この方のご住所をご存知ですか。
B: いいえ、住所 どころか、 名前 さえ分かりません。
3.A:料理ができないといっても、焼きそばぐらい作れるでしょう。
B: いいえ、焼きそばを作る どころか、インスタントラーメンさえ作れません。
4.A:よく本を読みますか。
B:忙しくて本どころか、家族からの手紙さえ読めないんです。
5.A:もう宿題はできましたか。
B:今日は頭が痛くて宿題をする どころか、食事もしていません。
まとめましょう
下線に言葉を入れて本文をまとめてください。
出張途中の飛行機事故で突然主人を亡くし てから、 時計を持たない 生活をしている。初めは 少し不便に感じることもあったが、慣れてくると、かえって生活にゆとりさえできた 。時計を持たなくなってから 前ほど時間を気にしなく なったし、 時計を見なくてもだいたい時間が分かるように もなった。私は 時計と縁のない生活 が気に入っている。
話しましょう
A 第13課を読んで、ある人が次のように言いました。どう思いますか。
「『時計と縁のない生活』は、田舎でなら考えられても、都会ではできないと思います。私は電車の運転をしていますが、私の運転する電車が五分遅くなっても大きい声で怒るお客さんを見ると、時計は必要だと思います」
B 私たちの毎日の生活で、要らないと思う機械は何ですか。
略
書きましょう
A-1 から、 ことにした。初めは が、慣れてくると どころか、かえって 。
例:自分の時計を持って歩かないことにした
→いろいろな所に時計があるから、私は自分の時計を持って歩かないことにした。初めは不便なこともあったが、慣れてくると不便どころか、かえってゆとりを持って生活できるようになった。
1.エレベーターを使わないことにした
→ 運動になるから、エレベーターを使わないことにした。初めは疲れる日もあったが、慣れてくると疲れるどころか、かえって足が丈夫になって喜んでいる。
2.車を使わないことにした
→新しい会社へは電車の方が便利だから、車を使わないことにした。初めは電車を待つ時間が長く感じられていらいらしたが、慣れてくるといらいらするどことか、かえってゆっくり本を読んだりして、楽しめるようになった。
3.テレビを見ないことにした
→目が疲れるから、テレビを見ないことにした。初めは寂しいと思うこともあったが、慣れてくると寂しいどころか、かえって自由な時間が増えて本をよく読むようになった。
A-2 からといって わけではないし、 わけでもない。
例:時計を持たなくなった
→時計をもたなくなったからといって時間のことを全然考えないで生活しているわけではないし、身の回りに時計が一つもないわけでもない。
1.テレビを見なくなった
→テレビを見なくなったからといって、ニュースを知りたくないわけではないし、社会と離れて生活したいと思っているわけでもない。
2.田舎で生活している
→田舎で生活をしているからといって、都会が嫌いなわけではないし、都会に住めないわけでもない。
3.教室で日本語を使わない
→教室で日本語を使わないからといって、話せないわけではないし、話したくないわけでもない。