芥川龍之介 腊梅
(2010-03-19 20:25:06)
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芥川龍之介腊梅日本随笔 |
分类: 日本随笔 |
腊梅
芥川龙之介
翻译:王志镐
我家后院的篱笆傍边,有一株腊梅。今年,在自筑波吹来的寒风之中,似琥珀般的数朵梅花不断开放。其幼苗是本所自己家里的田边移植过来的。打开嘉永那年绘就的本所绘图,在土屋佐渡守的住宅前面,可以看见有小小的“芥川”铭刻着,这“芥川”就是我家。在德川家族瓦解之后,我家失去了不多的扶持,为了每天早上不断地升起炊烟,我觉得父亲也好,叔父也好,站在路边,筹划家财,只是想将其廉价拍卖,连自己的短刀也留不住。今天只剩下一株腊梅,是从十六世孙那里传下来的。
腊梅在雪中透出枝干的背影。
(大正十四年五月)
臘梅
芥川龍之介
わが裏庭の垣のほとりに一株の臘梅(らふばい)あり。ことしも亦(また)筑波(つくば)おろしの寒きに琥珀(こはく)に似たる数朶(すうだ)の花をつづりぬ。こは本所(ほんじよ)なるわが家(や)にありしを田端(たばた)に移し植ゑつるなり。嘉永(かえい)それの年に鐫(ゑ)られたる本所絵図(ほんじよゑず)をひらきたまはば、土屋佐渡守(つちやさどのかみ)の屋敷の前に小さく「芥川(あくたがは)」と記せるのを見たまふらむ。この「芥川」ぞわが家(や)なりける。わが家(や)も徳川家(とくがはけ)瓦解(ぐわかい)の後(のち)は多からぬ扶持(ふち)さへ失ひければ、朝あさのけむりの立つべくもあらず、父ぎみ、叔父(をぢ)ぎみ道に立ちて家財のたぐひすら売りたまひけるとぞ。おほぢの脇差(わきざ)しもあとをとどめず。今はただひと株の臘梅のみぞ十六世(せ)の孫には伝はりたりける。
臘梅(らふばい)や雪うち透(す)かす枝の丈(たけ)
(大正十四年五月)

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