輸出に関する基本的な制度や手続き : 決済?金融?為替
(2012-03-30 20:01:58)
标签:
日本信用状教育 |
分类: 外贸体系 |
輸出に関する基本的な制度や手続き : 決済?金融?為替
信用状条件との不一致がある船積書類の銀行買取の可否
- Q. L/C決済ベースの輸出ですが、商品の船積み手続きが遅れ、受け取った信用状の船積期限を過ぎてしまいました。輸入者はL/Cのアメンドはしないが、船積期限を過ぎても決済すると言ってくれています。この場合、銀行に買い取ってもらうためにはどのような方策がありますか。もし,銀行が買い取らない場合はどうなるのでしょうか。
- A.
輸出船積み後、信用状の船積期限が過ぎているが、L/Cアメンドメント(条件変更)を入手できない場合、アメンドメントと同様の効果のある「ケーブルネゴ(Cable Nego)扱い」により、銀行買取を受けることができます。
「船積期限切れ」等の信用状条件の未充足(または、不一致)のことを、一般的には「ディスクレ、ディスクレパンシー ; Discrepancy」といいます。ディスクレ付きの場合、信用状発行銀行の支払確約は取り消されますので、銀行では、原則として買取りに応じないのですが、実務的には、ディスクレの内容および買取り依頼人の信用度に応じて、次の3つの方法のいずれかで取扱います。
1.ケーブルネゴ扱い:Cable Negotiation または、Cable Inquiry
ディスクレの内容を列挙し、SWIFT等のテレコミュニケーション(電信)により、買取依頼先の銀行を通じて信用状発行銀行に買取の可否を照会(Inquiry)します。信用状発行銀行の応諾回答に基づき銀行買取が行われますが、この方法は照会の案件のみに有効ですので、同じL/Cで引き続き船積みをする場合には、L/Cアメンドメントを入手した方が良いでしょう。なお、書類到着後、新たなディスクレが発見されますと、支払を受けられなかったり、支払が遅延する場合がありますので、注意が必要です。なお、信用状発行銀行は、発行依頼人に、ディスクレ受け入れの可否を問い合わせることは認められています。
2.L/Gネゴ扱い:L/G Negotiation
買取銀行に対して輸出者の損害賠償念書(一般的には、Letter of Guarantee ; L/G、または、Letter of Indemnity ; L/Iと言います)を差し入れし、買取りをしてもらう方法です。この方法は、ディスクレ内容が軽微であり、かつ万一不払いとなった場合に買取り依頼人が買取り金額全額のリファンドに応じる能力の有無と言う依頼人信用が考慮されます。なお、L/G扱いは、買取銀行と依頼人の輸出者との間の「特約」としての効果がありますが、信用状発行銀行には支払いの義務はありません。すなわち、信用状発行銀行が書類を点検後、ディスクレを理由に支払いを拒絶することは認められています。現行の信用状統一規則(UCP600)には、「留保付き買取り(under reserve)」や「損害担保の約束(an indemnity)」の規定は無くなりましたので、ご留意願います。
3.アプルーバル扱い(Approval扱い):取立扱い
信用状統一規則に準拠する信用状の場合、ディスクレ付き書類の支払い呈示に対しては、発行銀行の支払い確約は取り消されますので、輸出地の銀行は買取をせず、信用状発行銀行がディスクレを承認後に支払う条件(On Approval扱い)として、船積み書類を信用状発行銀行あてに送付します。いわゆる「取立扱い」の手形代金回収となります。なお、この方法は、信用状無しのD/P?D/A手形の場合と同じく、「取立て」と言っていますが、準拠する国際ルールは、信用状付きの場合は「信用状統一規則(現行は、UCP600)」のところ、信用状無しのD/P?D/A手形の場合は、「取立て統一規則(URC522 ; Uniform Rules for Collections)」に準拠します。
参考資料?情報
ジェトロ刊「実践貿易実務第10版」
日本経済新聞社刊「QA貿易実務トラブル解決マニュアル」Q6-3 p.254
㈱経済法令研究会刊「輸出入と信用状取引―新しいUCP&ISBPの実務―」