「世界一」を増やそう 挑戦に必要な暮らしの安全
日本に「世界一」はいったいいくつあるだろう。
鹿児島県の桜島大根は世界一大きいダイコンだ。法隆寺は世界一古い木造建築である。野球の王ジャパンは米大リーグを抑え世界一になった。「男はつらいよ」は世界一長い映画シリーズである。
いくらでもある。東京競馬場の大型映像スクリーン(ターフビジョン)は三菱電機製で世界最大である。トヨタの「カローラ」は車名別生産台数世界一の自動車だ。そして、わが日本は世界一の長寿国である。
2007年の年頭に当たって私たちは、この世界一のリストをどんどん増やしていこう、と提案する。厳密に「世界一」である必要はない。世界的基準に照らして傑出したモノやサービス、世界に胸をはって誇れるような「日本発の価値」を増やそうという呼びかけだ。
日本人がいまの豊かな暮らしを維持するには、世界一を増やすほかないからである。
鹿児島県の桜島大根は世界一大きいダイコンだ。法隆寺は世界一古い木造建築である。野球の王ジャパンは米大リーグを抑え世界一になった。「男はつらいよ」は世界一長い映画シリーズである。
いくらでもある。東京競馬場の大型映像スクリーン(ターフビジョン)は三菱電機製で世界最大である。トヨタの「カローラ」は車名別生産台数世界一の自動車だ。そして、わが日本は世界一の長寿国である。
2007年の年頭に当たって私たちは、この世界一のリストをどんどん増やしていこう、と提案する。厳密に「世界一」である必要はない。世界的基準に照らして傑出したモノやサービス、世界に胸をはって誇れるような「日本発の価値」を増やそうという呼びかけだ。
日本人がいまの豊かな暮らしを維持するには、世界一を増やすほかないからである。
◇急速に進む少子高齢化
日本は少子高齢化とグローバリゼーションの荒波にもまれている。今年は07年問題の年。団塊の世代が定年で一線から退き始める。ベテランの技術が継承されず消えかねない。年末に発表された将来推計人口によれば、少子高齢化は想像以上のスピードだ。50年後、日本の人口は9000万人を割ってしまう。
人口減少のインパクトは大きい。自動車やカラーテレビは国内販売台数が縮小傾向にある。企業が国内市場で売り上げを伸ばすのは難しくなった。
今年、世界一をめざすトヨタの海外シフトは急だ。国内と海外の販売比率は90年の1対1から今年1対5になるという。日本は世界市場に目を向けるほかない。中国などが追い上げてくる。世界一の数が日本の未来を決める。
人口が減って日本経済が縮小しても、1人当たりで分配が大きくなればよい。そういう考え方がある。その通りだが、現実は厳しい。日本の1人当たり可処分国民所得は、長らく世界一だったが、近年、米国や北欧諸国に次々と抜かれつつある。 エレクトロニクスや金融にかつての勢いはない。デジタル革命、情報技術(IT)革命という大変化に、十分に対応できなかった。金融は破滅寸前に国民負担で救済された。
「失われた15年」である。遅れを取り戻すためには、目標と志を高く掲げる必要がある。
私たちは、たくさんの世界一を生み出してきた。実績が日本人の能力を証明している。浮足立つ必要はない。
日本の製造業の中には、ハイテク製品の製造になくてはならない部品や素材で、世界一のシェアを占める企業が何百とある。米アップル・コンピュータの大ヒット商品「iPod」も日本製の部品や素材がなければ製造できないのだ。
こうした日本製の「世界一」が、私たちの豊かな暮らしのモトだ。これを増やす戦略をたて果断に実行する必要がある。
「世界一」を生むのは技術革新(イノベーション)だ。安倍政権は「新成長戦略」で規制緩和や科学技術予算の「選択と集中」を行い、技術革新を促進しようとしている。強力に推進してもらいたいが、重要な視点が欠けているのではないか。
脳科学者の茂木健一郎氏が興味深い指摘をしている。子どもは母親が見守ってくれているという安心感があってはじめて、探究心を十分に発揮できる。新しいものに挑戦するには、母親のひざのような「安全基地」を確保する必要がある、と。
さらに、北欧諸国の高福祉高負担路線。なまけ者を作るシステムといわれたが、実際はめざましい技術革新で日本や米国より成長率が高い。
その秘密は丈夫な社会的「安全ネット」の存在だ。失敗しても落ちこぼれないから、冒険ができる。それが技術革新をうむ。日本とは国の形が異なるからモデルにしにくいが、深く考えさせるものがある。
安全基地と安全ネット。「安全」がキーワードである。
日本は少子高齢化とグローバリゼーションの荒波にもまれている。今年は07年問題の年。団塊の世代が定年で一線から退き始める。ベテランの技術が継承されず消えかねない。年末に発表された将来推計人口によれば、少子高齢化は想像以上のスピードだ。50年後、日本の人口は9000万人を割ってしまう。
人口減少のインパクトは大きい。自動車やカラーテレビは国内販売台数が縮小傾向にある。企業が国内市場で売り上げを伸ばすのは難しくなった。
今年、世界一をめざすトヨタの海外シフトは急だ。国内と海外の販売比率は90年の1対1から今年1対5になるという。日本は世界市場に目を向けるほかない。中国などが追い上げてくる。世界一の数が日本の未来を決める。
人口が減って日本経済が縮小しても、1人当たりで分配が大きくなればよい。そういう考え方がある。その通りだが、現実は厳しい。日本の1人当たり可処分国民所得は、長らく世界一だったが、近年、米国や北欧諸国に次々と抜かれつつある。 エレクトロニクスや金融にかつての勢いはない。デジタル革命、情報技術(IT)革命という大変化に、十分に対応できなかった。金融は破滅寸前に国民負担で救済された。
「失われた15年」である。遅れを取り戻すためには、目標と志を高く掲げる必要がある。
私たちは、たくさんの世界一を生み出してきた。実績が日本人の能力を証明している。浮足立つ必要はない。
日本の製造業の中には、ハイテク製品の製造になくてはならない部品や素材で、世界一のシェアを占める企業が何百とある。米アップル・コンピュータの大ヒット商品「iPod」も日本製の部品や素材がなければ製造できないのだ。
こうした日本製の「世界一」が、私たちの豊かな暮らしのモトだ。これを増やす戦略をたて果断に実行する必要がある。
「世界一」を生むのは技術革新(イノベーション)だ。安倍政権は「新成長戦略」で規制緩和や科学技術予算の「選択と集中」を行い、技術革新を促進しようとしている。強力に推進してもらいたいが、重要な視点が欠けているのではないか。
脳科学者の茂木健一郎氏が興味深い指摘をしている。子どもは母親が見守ってくれているという安心感があってはじめて、探究心を十分に発揮できる。新しいものに挑戦するには、母親のひざのような「安全基地」を確保する必要がある、と。
さらに、北欧諸国の高福祉高負担路線。なまけ者を作るシステムといわれたが、実際はめざましい技術革新で日本や米国より成長率が高い。
その秘密は丈夫な社会的「安全ネット」の存在だ。失敗しても落ちこぼれないから、冒険ができる。それが技術革新をうむ。日本とは国の形が異なるからモデルにしにくいが、深く考えさせるものがある。
安全基地と安全ネット。「安全」がキーワードである。
◇市場主義のひずみ噴出
いま、私たちの周囲では、格差問題や働いても生活保護以下の収入しか得られないワーキングプアの問題など、市場主義のひずみが噴出している。
安倍政権は「成長」が一番の処方せんだ、と主張する。パイを大きくし分配を増やすのが問題解決の早道だ、と。一面の真理だが、時代はもっと先に進んでいる。
安全ネットは弱者対策として必要なだけではない。冒険に踏み出す「安全基地」として不可欠なのだ。その観点から、現状は寒心に堪えない。年金制度の長期的安定性に疑問符がついているようでは話にならない。政府の成長戦略は暮らしの安全保障を先送りする口実になっていないか。
日本はさまざまな世界一を必要としている。なかでも必要なのは、世界一国民を大事にする政府である。そして、世界一の政府を求めるならば、私たち自身が世界一啓発された有権者でなくてはならない。
今年は春に統一地方選、夏に参院選が待っている。投票所に足を運ぶ。国民のための政治を実現するには、まず私たちが腰をあげる必要がある。それを世界一づくりの第一歩としよう。
いま、私たちの周囲では、格差問題や働いても生活保護以下の収入しか得られないワーキングプアの問題など、市場主義のひずみが噴出している。
安倍政権は「成長」が一番の処方せんだ、と主張する。パイを大きくし分配を増やすのが問題解決の早道だ、と。一面の真理だが、時代はもっと先に進んでいる。
安全ネットは弱者対策として必要なだけではない。冒険に踏み出す「安全基地」として不可欠なのだ。その観点から、現状は寒心に堪えない。年金制度の長期的安定性に疑問符がついているようでは話にならない。政府の成長戦略は暮らしの安全保障を先送りする口実になっていないか。
日本はさまざまな世界一を必要としている。なかでも必要なのは、世界一国民を大事にする政府である。そして、世界一の政府を求めるならば、私たち自身が世界一啓発された有権者でなくてはならない。
今年は春に統一地方選、夏に参院選が待っている。投票所に足を運ぶ。国民のための政治を実現するには、まず私たちが腰をあげる必要がある。それを世界一づくりの第一歩としよう。
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